身寄りのない方の葬儀|疎遠な親族が急に「喪主をお願いします」と言われたら
「叔母が亡くなったと警察から連絡があった」
「何年も会っていない親族だけれど、ほかに身寄りがいないらしい」
「葬儀をしてくれる人がいないので、お願いできませんかと言われた」
近年、単身世帯の増加や家族関係の変化により、こうしたケースは決して珍しいものではなくなっています。
特に孤独死の場合や、故人様に配偶者や子どもがいない場合、甥・姪、いとこなど、長年ほとんど交流のなかった親族へ突然連絡が入ることがあります。
そして困るのが、
「親族なのだから、自分が葬儀をしないといけないの?」
ということではないでしょうか。
故人様との関係が希薄であれば、希望していた葬儀も、宗派も、財産の状況も分からないことがあります。
今回は、身寄りのない方が亡くなり、疎遠だった親族が突然葬儀について対応することになった場合に、何を確認し、どう考えればよいのかを葬儀社の立場から解説します。
「身寄りがない」といっても状況はさまざまです
身寄りのない方というと、親族がまったくいない方を想像するかもしれません。
しかし実際には、
- 配偶者や子どもがいない
- 親や兄弟姉妹がすでに亡くなっている
- 親族はいるが何十年も交流していない
- 親族が遠方に住んでいる
- 家族と絶縁状態になっている
- 親族はいるが、高齢などの事情で対応できない
といったケースもあります。
戸籍上は親族がいても、実際の生活ではほとんど関係がないこともあります。
そのような中で故人様が自宅で亡くなり、警察などが親族を調べた結果、突然連絡が入ることがあります。
疎遠な親族が亡くなったら、必ず喪主にならないといけない?
突然連絡を受けた方が最も戸惑うのが、この部分だと思います。
まず、「親族だから必ず一般的な葬儀を行わなければならない」と単純に考える必要はありません。
そもそも喪主は、葬儀を取り仕切る立場を表すものであり、相続人であることと同じ意味ではありません。
例えば、長年会っていなかった叔父が亡くなり、甥である自分に連絡が来たとしても、
「親族だから家族葬をしなければならない」
「喪主なのだからすべての費用を負担しなければならない」
「葬儀をしたら必ず相続もしなければならない」
と、すべてを一つの話として考えないことが大切です。
葬儀をどうするのかと、相続をどうするのかは分けて整理する必要があります。
急に連絡が来たら、まず何を確認する?
警察や病院、施設などから突然連絡があった場合、すぐに葬儀の形式を決める必要はありません。
まず確認したいのは、
- 故人様が現在どこにいるのか
- いつまでにお迎えが必要なのか
- ほかに連絡が取れる親族がいるのか
- 葬儀について故人様の希望が残されていないか
- 菩提寺やお墓があるのか
- 葬儀費用について分かっていることがあるか
といったことです。
分からないものについては、「分かりません」で構いません。
長年交流のなかった親族であれば、宗派や交友関係、財産について知らなくても不思議ではありません。
最初からすべてを把握している必要はありません。
孤独死の場合は、すぐに故人様を引き取れるとは限りません
自宅などで亡くなられ、発見まで時間が経過している場合には、警察が関わることがあります。
その場合、警察による確認などが終わるまで故人様を葬儀社がお迎えできないことがあります。
親族へ連絡があったからといって、その場ですぐに葬儀の日程まで決めなければならないわけではありません。
まずは警察などから今後の流れを確認し、故人様をお迎えできる段階になったところで葬儀社へ相談します。
突然のことで、
「何を聞けばいいのかさえ分からない」
という場合は、そのことも含めて葬儀社へ伝えてください。
故人様の希望が分からないとき、どんな葬儀にすればいい?
長年疎遠だった場合、
「本人がどんな葬儀を望んでいたのか分からない」
ということも多いでしょう。
その場合に、無理に立派な葬儀を行う必要はありません。
参列する方がほとんどいないのであれば、一般的な家族葬だけでなく、一日葬や直葬という選択肢もあります。
例えば、
家族葬
少人数でも通夜・葬儀を行い、ある程度時間をかけてお別れする。
一日葬
通夜を行わず、葬儀・告別式と火葬を中心に一日でお見送りする。
直葬
通夜や葬儀・告別式を行わず、ご安置後に火葬を中心としてお見送りする。
という違いがあります。
どの形式が正解ということではありません。
故人様との関係、参列する人数、宗教・菩提寺の有無、費用などを確認して、現実的な方法を選びます。
関係が薄かったから直葬にしなければならないわけでも、親族だから家族葬をしなければならないわけでもありません。
「親族なのだから立派に送らないと」と無理をしなくていい
疎遠だった親族の葬儀では、少し特殊な悩みが生まれることがあります。
「何十年も会っていないのに、自分が喪主をしていいのだろうか」
「親族なのだから、ある程度の葬儀をしないといけないのでは」
と考えてしまうことです。
しかし、これまでの関係性を無視してまで無理をする必要はありません。
反対に、疎遠だったとしても、
「最後くらいはきちんと見送ってあげたい」
と思うのであれば、そのお気持ちに合わせて葬儀を考えても構いません。
葬儀の規模は、故人様への気持ちの大きさを測るものではありません。
これまでの関係性と現在できることの中で、どのようにお見送りするかを考えることが大切です。
葬儀費用は誰が払う?
身寄りのない方の葬儀では、ここが大きな問題になることがあります。
突然連絡を受けた親族からすると、
「なぜ何年も会っていない自分が、葬儀費用まで払わないといけないの?」
と疑問に思うのは当然です。
葬儀社と契約して葬儀を依頼する場合には、誰が契約者となり、誰が費用を支払うのかを契約前に確認することが非常に重要です。
「故人様の預金があるから、そこから払えばいいだろう」
と簡単に考えない方がよいケースもあります。
故人様の預貯金は相続財産となり、ほかの相続人がいる場合や相続放棄を検討する場合には、その取り扱いに注意が必要だからです。
費用面に不安があるのであれば、葬儀の内容を決める前に葬儀社へそのまま伝えましょう。
故人様に財産や借金があるか分からない場合は注意
疎遠な親族の場合、故人様の財産状況をまったく知らないことがあります。
預貯金や不動産、有価証券などの財産があるかもしれません。
反対に、
- 借金
- 未払いの家賃
- 税金
- クレジットカードの債務
などが残っている可能性もあります。
「葬儀を引き受けたから、借金まで自分が引き継ぐ」
と直ちに決まるものではありません。
葬儀と相続は別の問題です。
一方、相続放棄を検討する可能性がある場合には、故人様の財産を自己判断で処分したり使用したりすることには注意が必要です。
故人様の財産や負債が分からない場合は、安易に資産を動かさず、必要に応じて弁護士などの専門家へ相談しましょう。
賃貸住宅で孤独死した場合、部屋の片付けはどうする?
孤独死では、葬儀だけでなく住んでいた家の問題が残ることがあります。
特に賃貸住宅の場合、
「部屋の荷物を全部片付けてください」
「退去の手続きをしてください」
などの話が出ることがあります。
ここでも、連絡を受けた親族がその場で何でも引き受けてしまわないことが大切です。
部屋に残された家財も故人様の財産に含まれる可能性があります。
相続放棄を考えている場合などは、遺品を自由に処分することで法律上の問題が生じる可能性もあります。
葬儀、賃貸契約、遺品整理、相続は、それぞれ関係はしていますが同じ手続きではありません。
分からないまま、
「親族なので全部やります」
と約束してしまう前に、一つずつ整理しましょう。
誰も葬儀を引き受ける人がいない場合はどうなる?
親族がまったくいない、または親族がいても葬祭を行う人がいないケースもあります。
その場合でも、故人様がそのまま放置されるわけではありません。
亡くなられた状況や故人様の身分・生活状況などによって、自治体などが関わり、火葬等に必要な対応が行われる場合があります。
ただし、
「身寄りがない人はすべて行政が無料で葬儀をしてくれる」
という意味ではありません。
生活保護法の葬祭扶助が関係する場合もあれば、墓地埋葬法に基づいて自治体が対応する場合などもあり、状況によって扱いが異なります。
親族として連絡を受けたものの、自分では葬儀を引き受けることが難しい場合には、無理にその場で承諾せず、連絡してきた警察や行政などへ事情を伝えて今後の対応を確認してください。
生活保護を受給していた場合は?
故人様が生活保護を受給していた場合には、生活保護法による「葬祭扶助」が関係する可能性があります。
ただし、
故人様が生活保護受給者だった=必ず無料で葬儀ができる
という制度ではありません。
葬祭を行う方の状況などを含め、福祉事務所が個別に判断します。
葬祭扶助は、経済的に必要な葬祭を行うことが困難な方のためのセーフティーネットです。
該当する可能性がある場合は、一般的な葬儀を契約する前に、担当ケースワーカーや福祉事務所へ確認しましょう。
「喪主をすること」と「相続すること」は分けて考える
身寄りのない方の葬儀で、ぜひ覚えておいていただきたいポイントです。
突然親族の葬儀を任されると、
葬儀・遺品整理・住居・相続を全部自分がしなければならない
ように感じてしまいます。
しかし、一度分けて考えてみましょう。
葬儀は、故人様をどのようにお見送りするのかという話です。
相続は、故人様が残した財産や負債をどうするのかという法律上の話です。
住居については、持ち家なのか賃貸なのかによって必要な対応が異なります。
そして遺品整理についても、相続との関係を確認してから進めた方がよい場合があります。
突然すべてを背負ったように感じても、一つの問題としてまとめて判断しないことが大切です。
加古川市・高砂市・稲美町・播磨町で突然親族の葬儀を任された方へ
すみれホールでは、加古川市・高砂市・稲美町・播磨町を中心に葬儀のお手伝いをしています。
近年は家族の形も変わり、
「長年会っていなかった親族が亡くなった」
「警察から突然連絡が来た」
「故人のことをほとんど知らないけれど、自分しか対応できる人がいない」
といった状況で葬儀社を探される方もいらっしゃいます。
このようなケースでは、最初から葬儀の希望が明確でなくても構いません。
「何をすればいいのか分からない」
というところからお話を伺います。
故人様との関係性、ほかの親族の有無、菩提寺、葬儀費用など、分かることと分からないことを整理したうえで、家族葬、一日葬、直葬など必要なお見送りの形を一緒に考えていきます。
まとめ|疎遠な親族の葬儀だからこそ、一つずつ整理する
単身世帯の増加や少子化によって、今後は「身近な家族が葬儀を行う」というこれまで当たり前だった形だけでは対応できないケースも増えていくと考えられます。
ある日突然、何年も会っていなかった親族の訃報を知らされ、
「あなたしか連絡できる人がいません」
と言われることもあるかもしれません。
そんなときに大切なのは、焦ってすべてを引き受けることではありません。
まず、
- 故人様がどこにいるのか
- ほかに親族がいるのか
- 誰が葬儀を行うのか
- どの程度のお見送りを希望するのか
- 誰が葬儀費用を負担するのか
- 菩提寺やお墓があるのか
- 相続や住居について確認が必要か
を一つずつ整理していきます。
故人様との関係が希薄だったからといって、無理に大きな葬儀をする必要はありません。
一方で、疎遠だったからこそ「最後だけは見送ってあげたい」と思うこともあるでしょう。
どちらも、その方なりの故人様との関係です。
「親族だからこうしなければならない」ではなく、これまでの関係性や現在の状況を踏まえ、できる範囲でお見送りを考える。
身寄りのない方の葬儀では、それが特に大切だと私たちは考えています。
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